今から21年前に受講した結婚講座全4回。第1回は『愛について』、第2回は『夫婦として』、第3回は『育児』、第4回は『現代社会に生きる』といった風な硬い題材。教会で結婚式をさせてもらうための前提条件だった。
ドロシーが、「わたし、教会で結婚式を挙げ、歌を歌う」と言い出したものだから、東京中の教会に電話をした。プロテスタント系の教会では、「信者さんでないと・・・」と断られ、カトリック系の教会では、「プロトコル(式次第)にないから無理」と断られた。もしカトリック本郷教会の関戸神父が、「うん、いいよ。僕はクラシック音楽は好きだからさ」と言ってくれなかったら、教会での結婚式は難しかったと思う。その関戸神父の条件の一つが結婚講座だった。
結婚講座は目白の東京カテドラルで行われた。毎週日曜日に何回も行かなければならないのは、少し気が重かった。しかも、初回のテーマは「愛について」だ。"お説教を長々とされたらかなわないな"と、不謹慎にも思っていた。
しかし、実際は違ったんだ。記憶はやや曖昧だが、こんな感じだ。
第1回:愛について
若手落語家のような話し方をする軽いのりの神父さんが登場。曰く、 『まぁ、ひとりより2人ってことですな。私なんか、ほら、結婚しないことになっているから。一人で家に帰ってつける裸電球、あれは侘しいですよぉ~。みなさんはこれから結婚するから、幸せ一杯にお互いに見つめあったりして、"好き"とかおっしゃってるんでしょうけれど、私からすればね、相方がいて、顔がついてれば、もうそれだけで羨ましい。』
第2回:夫婦として
慈恵医大の先生登場。曰く、『人為的な避妊は認められていません。自然が一番よい。しかし、現代社会にいる我々はそうも言っていられないかもしれない。もちろん、いわずもがなだが、常に手はきちんと洗うこと。膀胱炎の原因となる。タイミングに関する正確さでは触診法がよい。慣れてくると正確に状態を把握できる。』 専門的な記述を含む小冊子が配られ、ホワイトボードを用いながらの図解説明。正直にいうと腰が抜けるほど驚いた。
第3回:育児
私は6人の子を育てましたというおばさん登場。曰く、『1人目はいろいろわからなかった。2人目はちょっと反省。3人目は、ほっておいたら大きくなってた感じ。後はあんまり覚えてないわ。結局、なにもしなかった6人目が、一番いい子に育ったかしら。』
第4回:現代社会にいきる
家庭裁判所・離婚専門調停員のかたが登場。曰く、『教会としては認めていませんが、現代社会に生きるわれわれにはそれぞれいろいろな事情もおきます。いざというときは、私まで連絡を。』
いずれもそれなりに現実的で、まったくお説教くさくない。今考えてもまっとうな話ばかりだ。 『ああ、賢いなぁ。さすが2000年の歴史』と強く印象に残った。
それから何年かしてカリフォルニアのサンタバーバラのサンタバーバラ・ミッション(伝道所)をみたときにも、「ああ、ミッションとはこういうことなんだろうな」と、結婚講座のことを思い出しながら考えた。
私たちが結婚式を挙げたのは、改装前の本郷教会。改装前、当時は入り口にはスノコがあるような古風な教会だった。 http://tokyo.catholic.jp/text/shokyoku/hongo.htm
(2005年12月30日, mixi 改)
へー、面白そう。ものすごく現実的な講座ですよね。
しかも、離婚専門調停員の方まで登場とは!
講座に行くのも楽しくなりそう。
投稿情報: やーちゃん | 2010/09/23 20:55
うん、正直にいって「やだなぁ~」と思って参加したのですが、内容はとても現実的で現代的で、途中から、次は何をやってくれるのか、と楽しみになってしまいまいました。予想外でした。
そして、"そうか、信徒でない人に対するブランド価値はこうやって上げるのかぁ"と、不謹慎にもとても感心してしまったのです。
投稿情報: makoto | 2010/09/23 21:26