SF(Science Fiction, 空想科学小説)は、子供の頃から好きだった。高校の東洋史の時間は全部、早川書房「世界SF全集」(*1,2)にあてていたし、5・6時限が生物や地学だったりすると、自主休講にして近所の図書館にSFマガジンを読みにいったりした。
今から考えると、東洋史や生物や地学も面白かったろうにと思う。「世界SF全集」もぜんぶを通読したつもりでいたけれど、改めてタイトルを見直してみると、まったく記憶にないものもある。『フランケンシュタイン、すなわち現代のプロメシュース』も、この全集で読んだとばかり思っていたけれど、どうも記憶違いのようだ。まぁ、高校生の頃の記憶なんてそんなもんだ。自分では昨日のことのように思っているが、30年以上も前の話だ。
SFを最後に読んだのは、何年か前にピュアなファンよりは大分遅れて読んだダン・シモンズの「ハイペリオン」シリーズの単行本かもしれない。以前は、本屋でも必ず早川文庫のコーナーの前をうろうろしたのだけど、いまではちらっと眺めるだけになってしまった。
あたりまえだけど、本にしても映画にしても、相性や出会いがある。最初に読んだ筒井康隆はどうにも納得がいかなかったが、後に「馬の首風雲録」が好きになったりする。「霊長類南へ」や「虚航船団」も気に入っていた。細かい部分は筒井康隆に限らず、みんな忘れてしまったなぁ。
世界SF全集は、置いていない図書館もままあるので、それはちょっと残念だ。世界SF全集は、なんというか、自分の中のSFに関するベースラインになっていて、べき論じゃなくて、もっと大切な座標軸という気がする。
だから、私の「勝手に図書館採点基準」には、「世界SF全集が置いてある」が入っている。置いていないと、こっそりとがっかりする。「ああ、あそこに行けば、世界SF全集があるんだ」と思えないのが、ちょっと寂しいのだ。
そういうのを郷愁というのかもしれない。
『For old Pete I've built a "cat bathroom" to use in bad weather - automatic, self-replenishing, sanitary, and odorless. However, Pete, being a proper cat, prefers to go outdoors, and he has never given up his conviction that if you just try all the doors one of them is bound to be the Door into Summer. You know, I think he is right.』 (THE DOOR INTO SUMMER, Robert A. Heinlein, 1957)
子供はもう少し大きくなったら、SFを好きになるだろうか? いまのところはラノベ路線まっしぐらだ。まぁSFなんて、ある種の妄想かもしれないから同じようなものか。
(2006年2月4日, mixi 改)
(*1)世界SF全集(1~26)(早川書房) http://www.asahi-net.or.jp/~KC2H-MSM/pbsb/booksf04.htm
(*2)世界SF全集(27~35)(早川書房) http://www.asahi-net.or.jp/~KC2H-MSM/pbsb/booksf05.htm
このタイトルだけでやられちゃう(^^;<夏への扉
SFと言えば、最近日記書いてないから会った人にしかしゃべってないけど(^^;、ちょっと前に読んだ、伊藤 計劃の「虐殺器官」って読みました?
日本のSFはあまり読まない私ですけど、だいぶ前に0年代SFベストに押されてて、3ヶ月ほど前に文庫になっているのを発見して衝動買いしたんですよね。
こけがすごいというか素晴らしいの。
彼の筆力は半端じゃありません。ほんと。
とても残念なことにこの作者は、ほんの数編の作品を残して、癌で亡くなられています。実に惜しい。
まだ未読でしたら、是非。
投稿情報: 湘南 | 2010/09/27 23:21
伊藤計劃の「虐殺器官」自体を知りませんでした。SFに関して私はすでに"遠い目"状態なんだなぁと改めて認識しちゃった。
湘南おじさんがそんなに褒めるとは、うん、ぜひ読んでみたいな。
投稿情報: makoto | 2010/09/28 04:53